ARTEX・Strata

毎晩

2026-10-21

ARTEX・Strata

ARTEX・Strataウォッチ(夜) 2026-10-21

今夜のテーマは2つです。ARTEXは「止めたはずの道具が、どこまで、どんな形で広がったか」。Strataは「速さの話から、使うときの代償と条件の話へ」です。

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ARTEX:消せないコードと、使う側・作る側の責任

日本での報道は一巡し、今日は話が「その後」に移りました。韓国では原本が非公開になった後に派生版がどれだけ出回っているかを数える報道が出ました。日本では「うちもARTEXで検査すべきか」と迷う企業に向けた実務の論考が、中国では作者の法的責任を整理する論考が読まれています。

ニュース

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「原本を塞いでも複製・変種50個が拡散…中国AIハッキングツール『ARTEX』韓国語版まで登場」— 파이낸셜뉴스(10/21、独自)

[[단독] 원본 막아도 복제·변종 50개 확산…中 AI 해킹도구 '아르텍스' 한국어판까지 등장]( fnnews.com)
同紙の取材とアンラボASECの分析を合わせると、ARTEXの複製・派生版は少なくとも50個あり、そのうち5個は韓国語に置き換えた版だ、という記事です。ScopeWeaver、Tangora PTaaS、AegisLoopなどの派生は名前や画面を変えただけでなく、目的に合わせて機能を足したり直したりしていて、うち1つ(Bob Research Labs)ではECサイト基盤の脆弱性を突いた形跡や遠隔操作用の不正プログラム関連ファイルも見つかったとしています。ただし記事は、派生版による攻撃の成功や具体的な被害はまだ確認されていないこと、正当な研究や診断のための版も混じっていることも明記しています。ASECの助言は「ARTEXそのものを検知できるかより、初期侵入・権限昇格・横展開・外部との通信といった攻撃の段階ごとに守りを点検せよ」です。

論考

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「あなたの会社は、慌てて脆弱性検査にARTEXを使わなくていい」— Yusuke Kawabata(note、10/20)

あなたの会社は、慌てて脆弱性検査にARTEXを使わなくていい
報道を見て「うちもARTEXを試すべきか」と考えた企業に向けた実務の論考です。止める理由は2つで、原本はもう閉じられていて出回っているフォークには不正プログラムが混ざっているおそれがあること、改造版は攻撃力を高める方向に進んでいて、自社の試験のつもりが連携先まで攻撃して自分が加害者になる危険があることです。そのうえで筆者は、守る側は自分のソースコードと構成を見られる立場なのだから、攻撃者と同じ「外からの手探り」ではなく、内側の情報を使うホワイトボックス検査を隔離した環境で回すのが先だ、と主張します。外から侵入を試すテストは、それが一通り済んでから重要な経路に絞ればよい、という順番の話です(末尾に筆者の会社の案内があります)。

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「【今日説法】侵入・解析ツールの開発は違法か? ARTEX事件から見る『ツールに罪なし』の境界」— CN-SEC(10/13)

【今日说法】开发渗透/逆向工具是否违法? 从 ARTEX 事件看「工具无罪」的边界
作者は免責声明を書いて公開していたのに、それで責任を逃れられるのか。この問いを中国の法律で整理した論考です。結論は「ツールの開発そのものは違法ではない」。ただ、そのツールが侵入専用の機能を持つか、作者が他人の犯罪を知りながら渡したか、使う人が許可の範囲を超えたか、という3つの線があり、ARTEXは正当な用途がある以上「知りながら渡したか」が争点になりやすい、としています。キーワードは「機能は客観的、文書の言い回しは主観的。裁判所が見るのは前者」で、免責声明を書くより、許可の確認や対象の制限を製品に組み込むほうがはるかに効く、と締めています(作者の責任を断定するものではない、とも明記)。

見方(ここからは自分の考え)

3本を並べると、「閉じても回収できない」ことがもう前提になったと感じます。韓国紙が数えた50個という数字は、数え方次第で増えも減りもするはずですが、大事なのは数より中身で、名前を変えただけの複製から目的に合わせた改造へ進んでいる点です。だからこそASECもKawabata氏も、「ARTEXという名前を追う」のをやめて、自社の弱い所を順番に潰す話に戻しています。CN-SECの「声明より仕組み」という結論は、昨日のukiの論考(安全策の既定値を監査せよ)と同じ方向を向いています。作る側の責任も使う側の備えも、文章ではなく設定と手順で決まる、というのが今日の共通点だと思います。

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Strata:「何tok/s出るか」から「何と引き換えか」へ

0.2.1の後も、10/20〜21に小さな修正版(Windowsの導入不具合、Strix Haloでの起動、ダウンロードの部分修復など)が続いています。今夜は速度の数字そのものより、どんな条件で出るのか、何を我慢するのかを書いた記事を選びました。

比較

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「Strata:話題の推論エンジン」— Lucas Meneghel(個人ブログ、10/17)

Strata: The inference engine causing a stir
128GBのM1 Ultra(Mac Studio)でUnslothの4ビット版を1週間使った記録です。筆者の環境では生成が約47 tok/s、読み込みが最大約600 tok/sで、9月に測った37 tok/sより速く、以前使っていたDeepSeek V4 Flash(生成17、読み込み200程度)よりも快適だと書いています。比較として、リポジトリがM5 Maxで測った値(同じファイルで生成94.0 tok/s、MTPなしで60.7)と、llama.cpp Metalの48.4 tok/sを並べ、差は主にモデル自身の先読み層(MTP)と処理の重ね合わせから来ると説明しています。注意点として、起動直後の最初の応答が遅いこと、Macではまだ複数リクエストの同時処理に対応していないこと、いくつかの機能がApple Silicon上では未検証であることを挙げています(記事は0.2.0のMacアプリ公開より前に書かれています)。

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「Strataは12GBのゲーミングGPUで125Bモデルを動かす。READMEはその代償も書いている」— Reno Lu(DEV Community、10/20)

Strata runs a 125B model on a 12 GB gaming GPU by leaning on system RAM, and the README spells out the cost
速度表ではなく、READMEの注意書きから読んだ紹介記事です。起動中は35〜55GBをRAMに読み込むため1〜3分ほどPCが重くなること、モデルの大きさを決めるのは実質的にRAMで、32GBではエキスパートを半分に削ったコーディング版(作者測定でSWE-bench Verifiedが元モデルの91%、中国語などには弱い)になること、64GBで大きめの量子化を選ぶと一部をSSDから読みながら答えるため7〜8.5 tok/sまで落ちること、を拾っています。エージェント用途では、標準では1件ずつしか処理しないこと、最初のメッセージは3万トークンあたり約1分かかる(2通目以降は数秒)ことを挙げ、ネットワークに公開するなら必ずAPIキーを設定するよう勧めています。

論点

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「125BのMoEをGPU1枚+RAMで動かす『Strata』を入れて2日触った記録」— zephel01(note、9/30)

125BのMoEをGPU1枚+RAMで動かす「Strata」を入れて2日触った記録
少し前の記事ですが、「専用エンジン」の得失をはっきり書いているので取り上げます。RTX 5090環境で自作のコーディングベンチを回し、思考の上限を広げると正答率が上がったという実測に加えて、GLM-5.3-Flashを載せられないか調べた結果を書いています。Strataのメニューにある派生モデルはどれも同じ構造だから載っているのであって、構造の違うモデルはカーネルから作り直す数週間単位の移植になる、という結論です。「専用エンジンだから速い」と「専用エンジンだから他のモデルは動かない」は同じことの裏表だ、という一文が、この議論をよくまとめています。

見方(ここからは自分の考え)

Macの記事もREADMEを読んだ記事も、言っていることは同じで、「Strataの速さはRAMの量と使い方の条件がそろったときに出る」ということです。llama.cpp Metalとの比較はリポジトリ側の測定を引いたもので、筆者自身が同じ条件で比べたわけではない点は割り引いて読む必要があります。それでも、MacでもゲーミングPCでも同じ道具で125B級を手軽に回せる、という強みははっきりしてきました。その代わり、1つのモデルに特化して作った分だけ、次の有力モデルが出たときの乗り換えは遅い。この「深く狭く」の性格を承知して選ぶ道具だと思います。

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全体の見方

ARTEXは、道具そのものの話から「コードが散らばった後の世界でどう守るか」と「作者はどこまで責任を負うか」の話に移りました。どちらも、名前を追ったり声明を書いたりするより、設定と手順で決まるという結論に向かっています。Strataは速度競争の次の段階に入り、RAMの量、起動時間、1件ずつの処理、対応モデルの狭さといった条件を知ったうえで選ぶ道具になってきました。なお今日のセキュリティ全体の最大の話題はPHPの深刻な脆弱性で、ARTEXとは別の流れとして見ておくべきです。

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Xで伸びている投稿

ARTEX関連(5,000以上)

公式・報道:

  • ITmedia AI+が「ARTEXを使った攻撃、日本企業20社を標的に。同一グループが複数犯行か、対策のポイントは」と、GMO系の調査を要約した記事を告知(約6,649/itm_aiplus)。

一般の反応:

  • rionlab_kobaが、GMOイエラエの公表を引いて「同じパスワードを使い回している人は今夜だけは見直して」と注意を呼びかけ(約21,032/rionlab_koba)。

Strata関連(5,000以上)

公式・報道で5,000以上は見つかりませんでした。

一般の反応:

  • ExecuteAutoが「新しいStrataアプリで、M5 MaxではQwen3.8-Flash-NextのQ5を100万トークンの文脈で、M6 Mac miniではQ2で動かした」と紹介(約7,156/ExecuteAuto)。
  • murasametechが、Ryzen 5 7600・64GB・RTX 5070+RTX 5060 Tiの環境を例に「Strataで使うならVRAMだけでなくシステムRAMも非常に重要」と解説(約7,008/murasametech)。

セキュリティ全般(10,000以上)

公式・報道:

  • ライブドアニュースが「PHPに深刻度9.2の脆弱性が2件。サーバー乗っ取りの恐れがあり、10月21日に緊急パッチ公開へ」と報じる(約387,014/livedoornews)。
  • ITmedia NEWSが「コドモン、シャドバ、BASE、さくらのレンタルサーバなどが相次いで緊急メンテナンスへ。PHPの脆弱性が原因か」と報じる(約288,772/itmedia_news)。
  • NHKニュースが、相次ぐ不正アクセスについて「金融機関が狙われる段階に変わってきた可能性」と報じる(約52,080/nhk_news)。
  • NHKニュースが「AIの悪用、食い止められるか」として、相次ぐ情報流出は見過ごされてきたシステムの欠陥をAIがあぶり出したものとみられる、という解説委員の解説を告知(約17,880/nhk_news)。

研究者・技術者:

  • Felipe Daragonが、PHPの2件の脆弱性(CVE-2026-109618/109619)に対するApache向けの緊急の緩和・確認ツールを公開し、公式のものではないと断っている(約49,843/FelipeDaragon)。